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2015年11月17日火曜日

R18BL短編『うそつき』(4)


はじめにこちらをお読みください。




(4)


 ああ、もう! 面倒くさいな。」



そう聞こえた瞬間、背後から肩を掴まれて引き戻されてしまう。


「え?ちょっ……」


そのまま肩を抱き寄せられて駅とは真逆の方向へ歩き始める。


「いいから、ね?ちゃんと家まで送ってあげるし。」


「そんな! いいって言ってんのに!」


「そんなにキャンキャン吠えないの。別に取って食おうってわけじゃなし。」


「でも!」と、否定をしようとすると、人差し指を軽く唇に当てられて、言おうとした言葉を思わず飲み込んでしまう。



「俺、独りで飯食うの嫌いなの。付き合ってよ、ね? 千聖は腹減ってないの?」


「……減ってませんてば。」


昼食を食べたのは三時過ぎていたんだ。別にそんなにまだ減ってない……と、言いたかったのに、実は、昼間は食欲がなくて、俺はハンバーガー一個しか食べていなかった。


 ぐぅぅ……


間の悪いことに、こんな時に腹の虫が鳴くなんて!


「ほらね?千聖も腹減ってんじゃん。」


「……う、」


 言われて顔があり得ないほど熱くなっていく。もうそれ以上反論できなくて、口を噤んでしまった。

 クスッと漏らした笑い声と共に、吐き出された息が耳に落ちてきて、身震いする俺の肩を抱いたまま西脇さんは歩き出す。



「ちょ、分かりましたから、離してくださいってば。」


俺の肩に回している手を振り払い、身体を離したのに、間髪入れずにまた抱き寄せられた。


「いいじゃん、寒いんだし、くっついている方があったかいでしょ?」


 回された手が、さっきよりも力強い。この人のペースに巻き込まれて、俺の意思なんて全く無視されているのが悔しい。

 でも……、ちょっと周りの目が気になって恥ずかしいけど、ここで騒いでしまうよりも、早く駐車場まで行ってしまった方が良いと考え直して、俺はもうそれ以上抵抗することを諦めた。






続きます。。。

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