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2015年11月19日木曜日

R18BL短編『うそつき』(6)


はじめにこちらをお読みください。




(6)



「それはそうかもだけど……」


 なんか適当な嘘で騙されたような、納得いかない気分だ。


「そういう千聖は、彼女いるの?」


 応えにくい話題をこちらに振られて、ちょっとだけ恥ずかしいのを隠す為に、目の前のワイングラスを手に取って、コクコクと喉へ流し込んだ。

 ワインのことなんて、もともと全然知識も無いんだけど、味なんて美味しいのか不味いのか、まったく判らない。


「…… いませんよ。」


 空になったグラスをテーブルに置くと、西脇さんは「いい呑みっぷりだね。」と、クスっと口角を上げてから、「じゃあ、彼氏は?」と続けた。



「……は?」


まさか、そんなことを質問されるとは思っていなくて、俺は思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。


「それもいないの?」


 焦る俺の顔を面白がるように、ニヤニヤしながら見つめてくる。

 これは絶対、からかわれている!

 そう思うのに、顔どころか、身体中が熱くなってきて、何を喋ったらいいのかも分からなくなってしまった。

 飲み慣れないワインなんて、一気に飲み干したりしたから、酔いが回ってしまったのか、目の目の西脇さんの顔も、ゆらゆらと揺れているように見える。


「…… お、おれ、は男ですよ? 彼氏なん、て…」


 西脇さんが立ち上がって、俺の隣の席の椅子を引いて、そこに座る。

 なんだか…… 綺麗な顔が、至近距離に見えた。


「でも、千聖って、ゲイなんでしょう?」


――え?


「……ちがい、ます。」


 なんで分かったんだ? 俺が、女の子には全然興味がないって。昔から、好きになるのは、いつだって男だった。でも、なんで初対面のこの人に、そんなこと……


「分かるんだよね、なんとなーく。」


 耳元に、息が吹きかかっている気がするんだけど、気のせいなんだろうか。


「ねえ、じゃあ俺の恋人にならない?」






続きます。。



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