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2015年12月4日金曜日
R18BL短編『うそつき』(20)
はじめて読む方は、こちらから。
(20)
だけど……、用意した食事は、独りでなんて食べる気がしなくて、結局無駄になるんだけど。
だから、誕生日のバレンタインデーに温泉に一泊旅行なんて。
しかも土日なんだから、期待なんて初めからしていなかった。
こんな関係も、長く続くわけがない。また新しい誰かを見つけたら、そっちにいくに決まっている。恋人だなんて思っていないし、ましてや愛人てわけでもないんだ。
西脇さんにとって俺なんて、ただの…… 暇潰しの相手でしかないんだ。
そして、俺も、西脇さんのこと……。
恋人じゃないから、別に苦しさとか、切なさなんて感じたりしない。
だからこういう関係になっても、奥さんに悪いとか、後ろめたいとか、そういう感情は俺にはあまり無かったのかもしれない。
*
そう……、こんな関係、長続きするわけがない。
近い未来には、終わるんだと理解していたし、それが悲しいなんて思っていなかった。
でも、その日は、あまりにも突然訪れた。
「千聖くん、電話入ってるよ。」
接客を終えて、お客様を見送った直後に、店長から声を掛けられた。
「電話?俺にですか?」
店に私用の電話が掛かってくるなんてことは、ありえなかった。誰にもここでバイトをしていることを教えていなかったから。
「誰からですか?」
「西脇さんて人。」
―― え?
西脇さんが店に電話してくるなんて、何かの間違いじゃないかと思った。
取引先とアルバイトが、個人的に付き合っているなんてこと、知られないようにって、西脇さんはすごく気を遣っていたから。
何かあったのかもしれないと、嫌な予感が頭を過る。だけど店長はニヤニヤしながら、俺の腕を軽く肘でつつく。
「女の人だよ。彼女?」
その言葉に、頭が真っ白になった。
女の人で西脇って、一人しか思い浮かばない。
続きます。。
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