2017年3月29日水曜日

『出逢えた幸せ』第二章:迷う心とタバコ味の……(10)

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第二章:迷う心とタバコ味の……(10)



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 透さんが、玄関のドアを開けて、「どうぞ」と、俺の背中に手を置いて、中へ招き入れる。


「お邪魔します」


 俺が靴を脱いでいると、背後でドアが閉まり、鍵をかける音がしたと思った瞬間、突然背中から抱きしめられた。


 そのまま壁に押し付けられて、顎を獲られ、顔だけ後ろを振り向く姿勢で、性急に唇を塞がれる。


「…… んんッ……」


 激しく唇を貪られながら、急くように脱がされたコートは、ストンと床に落ちて足元に纏わりつく。

 重ね着しているニットとシャツの裾から、透さんの手が滑り込んできた。


「…… アッ…… ふ…… ん…… ッ」


 素早く胸の突起を探り当てた指先に、そこを摘ままれると、重ねた唇の隙間から、恥ずかしい喘ぎ声が漏れてしまう。

 服の下で弄るように動く手に、咥内を余すところなく愛撫する舌に、腰の奥が熱く疼いてしまう。

 透さんは、まだ靴を履いたままで、コートも脱いでいない状態。

 俺の脱ぎかけていた靴は、片方だけ転がっている。


「とお…… るっさ…… んんッま…… ッ…… て…… アッ……!」


 —— ここ、玄関なのにっ――!


「待てない……」と、言いながら、透さんの手が俺のズボンのベルトにかかる。


「あの……、あのっ、俺、シャワー浴びたい……」


「どうせ、汗かく事するから、後で一緒に入ろう」


 そう言いながら、またキスをする。

 俺は、どんどん深くなるキスに応えながら、なんとかもう片方の靴を脱ぐ。

 きつく抱きしめられた腕の中で、身を捩りながら向き合って、俺も透さんのコートに手をかけて、脱がしていく。


「じゃ、ベッドに行きたい。 ここだと外に聞こえそうだし。 ね?」と、今度は透さんのネクタイの結び目を緩めながらお願いする。


「そうだね……」


 透さんは、苦笑しながらそう言うと、俺の腰の辺りに腕を巻きつけて、そのままヒョイっと身体を持ち上げて歩き出した。


「うわっ!」


 肩に担がれてる感じの体勢。

 透さんは、寝室のドアを開けて、俺をベッドにゆっくりと下ろすと、そのまま覆いかぶさるように唇を重ねた。

 何度も啄ばむようなキスを落とした後、耳元に唇を寄せる。


「直くんに逢いたかった……」


  甘い声で囁かれて、ドキンと、心臓が高鳴った。


 ―― 俺も、透さんに逢いたかった……。 俺はその時、そう言おうとしたんだ……。


 だけど……


「早く、こうしたかった。直くんを抱きたかった」


 …… え?


 ―― …… 抱きたかったから、逢いたかったの?


 激しいキスを受けながら、頭の中では透さんの今言った言葉が、リフレインしてる。

 その間も、熱く濡れた舌が、首筋を這い、ニットとシャツを同時にたくし上げ、露わになった肌を食み、透さんは紅い痕を残していく。

 勘違いかな、って、考えすぎかなって、思うけど……。

 やっぱり、そういう事なのかな、って思ってしまうと、また少し胸の奥がチクンとする。

 それなのに……、


 「好きだよ……」と、呟くような声で、甘い言葉が耳に届いた。


 心の中で、(そんなの嘘だ……)と、自分に言い聞かせながら、俺は透さんの首に腕を絡めて、キスを強請った。




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