2017年3月12日日曜日

『出逢えた幸せ』第一章:聖夜と生クリーム味の……(9)


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第一章:聖夜と生クリーム味の……(9)





「透さんこそ……」


 今日はデートとかの予定は?……と訊きそうになって、はっと気付いて口を閉じた。


「ん?何か言いかけた?」


 俺の態度に気が付いたのか、透さんは少し不思議そうな顔をしている。


 ―― うわ…… やばい……。


 訊いたら悪いような気がしていたのに。

 頭では分かっているんだけど、やっぱりずっと気になっていた事を、思わず言いそうになってしまった。


「いえ、なんでもないです。」


 慌ててそう言ってみたけど、透さんがじっと俺を見つめて、「気になるから言って?」って言うもんだから……。


「…… えと…… そういえば…… あの…… いつも一緒に店にくる女の人、最近見かけないなぁ…… と思って」


 ―― うわーっ! 訊いてしまった! 俺の馬鹿! もし別れてたとかだったら、どーすんだよ……。


 でも、言ってしまった事は、無かった事には出来ない。


「…… 気になる?彼女の事」


 少し寂しそうな顔でそう聞き返されて、余計に言った事を後悔して焦る。


「いえ、そんなわけじゃ……」


 どうしようもなくて、俺はそれだけ言って俯いてしまった。

 俯いてしまった俺の顔を、覗き込むように少し屈んでいた透さんは、背筋を伸ばして、また夜空を見上げた。


「あの子ね、こないだ結婚して、相手の人の仕事の関係でアメリカに行ったんだよ」


「え……?」


 俺は驚いて顔を上げた。


 だって、こないだまで、仲良さそうにデートしてたのに……。こないだ結婚したって事は、もっと前から結婚相手とも付き合ってたって事じゃないのか?

 て事は……、透さんとだぶってる時期が、きっとあるんじゃないのか?そんな事を考えていて、俺は口を開けたまま、固まってしまっていた。


「あはは、そんなに驚いた?」


「……はい。……えと、その…… こないだまで一緒にいるとこを見てたから…… びっくりしちゃって」


「あぁ…… そうだよね」


 彼女が結婚して逢えなくなったのに、彼はわりと平然としていて……。


「寂しくないですか?」


 なんて、俺はつまんない事を訊いてしまっていた。


「まぁ…… 寂しいといえば、寂しいけどね。あの子が幸せになるなら、それが一番だと思ってるよ」


 ―― 凄いな、透さんて。やっぱり大人だな……。


 別れても、相手の事をそういう風に、心から幸せを願う言葉って、あまり日も経ってないのに、なかなか言えないよな…… と思う。

 そうか、じゃあ今日はお互い寂しいクリスマスイブなんだな…… なんて、俺は勝手に考えたりしていて。

 暫く沈黙が続いてる事に気が付いて、ふと、透さんを見上げると、困ったような、哀しそうな表情をしているように見えた。





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