2017年6月5日月曜日

『出逢えた幸せ』第二章:迷う心とタバコ味の……(34)

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第二章:迷う心とタバコ味の……(34)



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 暫く呆然と座り込んだまま、俺は透さんの事を思い出していた。


 …………っ!


 車の中で、透さんの口でイッた時の感覚が蘇って、じんわりと下半身が熱くなるのを感じて、慌てて立ち上がった。


 ―― 嘘だろ…。


 でも、さっき全然反応が無かった時と、確かに違う熱に焦ってしまう。

 他の事を考えて熱をやり過ごし、何とか治まったけども、かなりトイレに長居をしてしまった。


 ―― 新年会、もう終わってるんだろうか……。


 そっとスタッフルームのドアを開けて店内を覗くと、ドアから見える範囲内には人の姿が見えない。


 ―― やばっ、誰もいない?


 でも数人の男の声が聞こえてきて、まだ誰かが残っている事に安心すると同時に、片付けもせずに、サボっていた事に後ろめたさと焦りみたいなものを感じる。


 ―― しかも、ゆり先輩とイケナイ事してたし!


 恐る恐る、声のする方へ足を進めると、カウンターの中に桜川先輩がいた。

 そのカウンター席に、桜川先輩と同級生の男二人が座っていて、3人で呑んで談笑していた。


「おっ、やっと出てきたな」


 洗った食器を拭いていた桜川先輩が、俺に気付いて声を掛けてくれた。


「トイレに、直くんがいるからって、ゆりに訊いていたんだけど、なかなか出て来ないから心配して、見に行こうかと思っていたんだ。気分でも悪かったか?」

「あ、いえ……、はい。 少し酔ったみたいで。でももう大丈夫です」


 これは、気分が悪かった事にしておいた方が良さそうな雰囲気……。 俺は桜川先輩の言葉に、話を合わせさせてもらうことにした。


「そうか、それは良かった。 まぁ、そこ座れよ」

「はい」


 と応えて、俺はカウンター席に座っている、二人の先輩の隣に座った。


「あ、あの、他の人達はもう帰ったんですか?」

「あぁ、二次会のカラオケに行ったけど、お前も行く?」


 洗ったグラスを綺麗に拭いて片付けながら話す、桜川先輩の動作は慣れているようで、まるでバーテンダーのようだ。


「いえ、俺は行かない予定だったんで……。 あの、何か手伝う事ありますか?片付けの時手伝えなかったんで」

「ああ、もうこれで終わりだから気にしなくていいよ。 それより気分悪くないなら、何か呑む?」


 少し長めの前髪を掻き上げて、フチなしメガネの奥の切れ長の目を細めて、優しく微笑んで訊いてくれた。 なんか桜川先輩って優等生風なのに、ミステリアスな感じもして、カッコいい。


「え、でも、いいんですか?」


 片付けも終わったのに、厚かましく呑んでいいものか、ちょっと戸惑う。


「もちろんいいよ。 俺たちも二次会は行かないから、3人でここでもう少し呑んで帰ろうって、話していたところだよ」


 桜川先輩がそう言うと、他の二人の先輩も「呑め、呑め」と勧めてくれるので、断るのも悪い気がして、じゃ、少しだけと言って頂く事にした。


「何、呑む? あ、俺に任せてくれる? 酒強いんだろ? あぁ、でもさっき気分悪くなったのか」

「あ、もう大丈夫ですから、お任せします」


 ちょっと怖そうとか思っていたのに、案外気さくに話し掛けてくれる先輩に、「気分悪くなったなんて嘘です、本当にすみません」 と、俺は心の中で何度も謝っていた。



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