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2017年9月6日水曜日

『出逢えた幸せ』第三章:身体と愛と涙味の……(8)

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第三章:身体と愛と涙味の……(8)



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 啓太からのメールは、


『おまえーー!いったいドコ行ったんだよー!?』


 飲み会が終わった後、啓太は二次会に行ったんだろうな。

 メールの受信時間を見ると、俺が二次会に行ってない事に、随分長い時間気が付かなかったようだ。


 そして、透さんからのメールの内容は、


 一件目は、『今日、飲み会って言ってたよね? もし良ければ終わったら迎えに行くよ』


 「…… っ」


 二件目……『遅くなりそうかな。 今夜は遅くても起きてるから、取り敢えず連絡して下さい』


 何だか、心の奥がチクッと痛んだ。

 待っていてくれたのかな、心配させたのかなって気持ちと……、それから昨夜の事を思い起こして、後ろめたくて……。

 今はとてもじゃないけど、透さんに逢う事も、電話で話す事さえも出来ないと思った。


 ―― でも、メールの返事はしないと……。


『返事、遅くなってすみません。 昨夜はちょっと呑みすぎて潰れちゃって、友達の家に泊めてもらいました』


 送信ボタンを押して、ほーっと長い溜め息を吐いた。


「どうしたの? 溜め息なんて吐いちゃって」


 気がつけば、濡れた髪をタオルでガシガシと拭きながら、真っ裸のみっきーが、すぐ傍に立って、俺を見下ろしている。


「ちょっ、早く何か着てくださいよっ」


 いくら男同士でも、目のやり場に困ってしまう。


「直だって、まだ何も着てないじゃん。」


 言いながら、ギシッとベッドの軋む音をさせて、みっきーは、俺の隣に座って肩を抱き寄せる。


「んで? 透さんのメール、何だったの?」


 言い当てられて、ドキッと心臓が鳴る。 …… 透さんからのメールだなんて、俺、ひとことも言わなかったのに。


「…… え、いや、大した内容じゃないですから」


「ふーん、そっか。 じゃ、そろそろ着替えて出ようか。 動ける?」


「はい、大丈夫です」


 みっきーが、それ以上追求してこない事に、内心ホッとしていた。

 メールの内容が頭を過って、優しさが滲み出ていた文面に泣きそうになっていたから。


 ―― また…… 逢ってもいいんだろうか…… 透さんに……。


 心に引っかかっているのは、昨夜の自分の行動と、どうしても脳裏にチラついてしまう彼女と歩いていた透さんの姿。

 どうしようもなく胸の痛みが広がるのを感じながら、重い腰を上げて、散らばった服を拾い集めた。

 それにしても怠い……。

 シャツの釦ひとつ、とめる為に動かす指すら重い。 それでも、ノロノロとした動作で服を着ていく。

 やっと全ての服を着終えたところで、はぁーっと溜息ひとつ零して、またベッドに座り込んだ。

 みっきーが髪を乾かしているドライヤーの音を、遠くに聞きながら、少しでも気を抜けば、そのままベッドに寝転んで眠ってしまいそうだった。

 その時、携帯のメールの着信音が響いた。


 ―― 透さんの……。


『二日酔い大丈夫? また連絡するね』


 短いけど、心配してくれているメールの内容に、


 ……ズキンッ


 やっぱり、胸が酷く痛むのを感じた。








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