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2017年9月24日日曜日

『出逢えた幸せ』第三章:身体と愛と涙味の……(18)

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第三章:身体と愛と涙味の……(18)



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 —— さっき先輩に言った事…… ?

「…… ほんき……?」


 心地良くて、うとうとしていたから、最初は何の話なのか分からなかった。


「…… そう、本気」


 眠りに落ちかけていた意識を呼び戻すように、みっきーの息遣いが俺の髪を揺らした。


「バーで初めて直を見た瞬間、惹きつけられて心を掴まれて、何かドキドキして、まぁ、これって一目惚れかなーって……」

「…… え?」

「でも最初は、自分の弟がした事に責任を感じて、本当にただ介抱するだけのつもりだったけど……」


 囁くように話すみっきーの低音の声が、朦朧とした意識の中に、まるで夢か何かのように甘く…… でも、その言葉は、はっきりと胸に響いてくる。


「直に触れているうちに…… もう止まらなくなって…… それに……、」


 ぴったりと肌を寄せているみっきーの胸から、聞こえてくる心音がやけに大きくて……。 なんだか俺の心臓も、それに吊られるようにドキドキしてくる。


「透さんの名前を直が呼んだ時、物凄く嫉妬して、胸が苦しかった」

「……」


『透さん』の、名前が出ると、途端に胸の奥が切なく騒つく。


「直が、透さんは恋人じゃないって言ったから、なら、直の中からその人を追い出して、俺でいっぱいにしたくなった」


 抱き寄せられた腕の中で見上げると、これまで見た事のない真剣な眼差しで見つめ返されて、俺はその瞳に吸い込まれそうなのに……。


「だから、何度も何度も抱いてしまったけど……」


 まるで悪戯をした子供のように、ばつの悪い顔をするみっきーが、やけに可愛く思えてくるのに……。

 今、俺の頭の中には、優しく微笑む透さんの顔が浮かんでいる。


「そんな顔をして……、あんなに何度も抱いたのに、直の中から透さんを追い出す事は出来なかったのかなぁ」


 額に落としてくれるキスは、とても優しくて、それでいて熱くて。
 俺の瞳を覗き込む切れ長の目は、僅かな反応も逃さないように見つめてくる。


「直にとって、透さんてどんな存在なの?」

 
 俺は、はっきり答える事もできなくて、ただじっと、みっきーの瞳の中で、揺らぐ自分を見ていた。


「透さんの事、教えてよ」


 柔らかく訊かれて、何か、赦されたような気持ちになって……、 俺は、少しずつ、少しずつ、みっきーに話した。 今までのこと、全部。

 透さんとの出逢い。
 ずっと憧れていた事。
 クリスマスイブに偶然会って、初めて会話して、なりゆきみたいに身体を繋げた事。
 透さんには、結婚しても、忘れる事のできない彼女がいる事。




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